デサルフェータ―3号機(準備)
既に半年も前から計画し車にデサルフェータ―3号機を取り付けようと思いながら時間が掛かってしまっている
まずは少しづつ準備してたことを整理してみる
原理
Alastair Couper氏が雑誌に発表した記事を見直す
- 鉛蓄電池は充放電すると電極に硫酸鉛の結晶が付き(サルフェーション)劣化して寿命となる
- 硫酸鉛の結晶には共振周波数(2~6MHz)があり,鉛蓄電池にパルス(2~6MHz)をかけることで硫酸鉛の結晶を溶解させ性能を回復させる方法が発見された(実際は別件の実験中に効果を発見したらしい)
- 12Vの鉛蓄電池に2~6MHzで30~50Vくらいのパルスをかけることで徐々に改善されていくが,実際の回路では直接鉛蓄電池に高周期のパルスを加えることは難しいので,コイルの逆起電力によるリンギングを発生させる
- このリンギングを共振周波数(2~6MHz)になるよう調整しサルフェーションを除去する
- 共振周波数は3.26MHzであるとの説がある
方針
- デサル動作をエンジン始動中のみだと短すぎるのでバッテリー電圧をチェックしながら常時動作させる
残容量(%) |
電圧目安(V) |
備考 |
100 | 12.6 | |
75 | 12.4 | ※1 |
50 | 12.2 | ※2 |
25 | 12.0 |
- 動作終止電圧を※1と※2として切替られるようにする
- 電圧チェックもあるため555の代りに融通の利くAttiny13aを使用する
回路
基本回路は以下のとおり(部品は暫定)
部品選定
以下の主部分の部品は調整予定で実験後に決定する
部品名 | 仕様 | 備考 |
D1 | 1N5822 | ショットキーだがER504と同程度のカバリータイムで順方向電圧損失が少ないので採用 |
FET | 2SK2232 | 2SK4021と検討 |
L1 | 100μH | 47~220μH位で実験予定 |
L2 | 470μH | 680μHでも良い |
L3 | 1mH | 決定 |
C1 | 470μF | 100μF~で実験中,セラミックコンデンサに置き換えたいが・・・ |
調整内容
(1)L1の磁気飽和までの時間
FETのON時間になるがL1が飽和するまでONにすると部品が破壊されるので最大時間は知っておく必要がある
調べてみても(頭悪いし年のせいもあり)良く理解してないけど,コイルに最大電流から63.2%まで減衰したところが時定数となり,時定数×5で約100%(つまり飽和)となるようなので,時定数を求めれば大体の時間が判るはず
時定数=L(H)/R(Ω) (注)Lの抵抗もRに含む
L1を充電の際のRは僅かで約1Ωだろう(100μHのコイルは0.1ΩでFETが0.5Ω位,尚充電ではL2も絡む)
なので,100μHだと100μs×5=500μsと考えて良い
充電されたコイルの放電は充電時間と同じになるので充放電を含めた時間は1クロックタイムを超えてはならない
(2)FET
リンギングピーク電圧が40~60Vあるので余裕の電圧耐性があってスイッチングスピードが速いのが良いのかと思うのだけど実験してみないと判らない
(3)Attiny13a
FETに切れの良い電圧(一気に高電圧等)を掛ける方がリンギングを発生しやすい(本来リンギングを発生させないようにする)
555で制御する場合12VをFETに掛けていたので,AVRの5VのPWM制御でも問題ないか確認する必要がある
5Vでよろしくないなら12Vをドライブすることになる
(4)C1
リンギングピーク電圧を上げるために容量アップしてる傾向があるのだけど実際のところはどうなのか?
実験結果
パルス発生器も改良して実験
(1)FETに与えるON時間は3~4μs
これまで7μs位のON時間を与えていたので5~10μsの変動で確認
やはり7μsを超えるとD1,L2の発熱が酷く80℃位になってしまう
そこで思い切って5μs以下に下げてみると,4μsまでは7μsと変わらないリンギングを発生できた
3μsにするとパワーが落ちているようで発熱がほとんど無い4μsがベストのようだ
(左:2SK2232-100μH-3μs,右:2SK2232-100μH-4μs)
(2)FETを2SK4021に変更
次に2SK2232と2SK4021で異なるのか比べてみると,明らかに2SK4021の方がピーク電圧が高くなったので変更
FETに与えるON時間は2SK2232の場合と同じく4μsの方が良さそう
(2SK4021-100μH-4μs)
ここで耐圧は低いが安価でON抵抗が低い2SK4017を試したみたところまったくリンギングが発生しなかった(RDSが関係するのか?)
(2SK4017-100μH-4μs)
(3)AVRで問題なし
5V駆動で問題なさそうだ
(4)220μF以上なら問題なさそう
200~400μF位でしか確認してない
100μFでも問題ないか別の機会で確認する
(5)L1を47μHに変更
FETに与えるON時間が4μsで十分ということはL1も小さくて問題ないということになる
そこで10μHでも十分そうだが余裕のある47μHで試してみたところ良好だったので変更(100μHよりピーク電圧が上がったようにも思えるがオシロがへぼなので確証が得られていない)
(左:2SK4021-47μH-3μs,右:2SK4021-47μH-4μs)
基板に実装(2018.6.17)
実験はブレッドボード上だったので接触抵抗が入り正確なデータ取得とはならない
なので実験用のボードに結果を実装して確認した
部品名 | 仕様 | 備考 |
D1 | 1N5822 | 決定 |
FET | 2SK4021 | 決定 |
L1 | 47μH | 100μHから変更 |
L2 | 220μH | 470~680μHから変更 |
C1 | 440μF | 220μF × 2個 |
ピーク電圧は45V位まである
リンギング周波数は0.05μs位で20MHzとなり少し高いか